ケータイ辞書JLogosロゴ あはれ
【あはれ】
<一>[感]<二><形動>[ナリ]<三>[名]<二>なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ

あ行>

あはれ(アワレ)
[感]《感動》ああ。→<一>[1]
《願望》ぜひとも。→<一>[2]
<形動>《感動》しみじみと心を動かされる。→<二>[1]
《風情》しみじみとした風情がある。→<二>[2]
《愛情》情がこまやかだ。情が深い。→<二>[3]
《魅力》いとしい。かわいい。→<二>[4]
《感心》感心だ。りっぱだ。→<二>[5]
《悲哀》悲しい。寂しい。→<二>[6]
《気の毒》気の毒だ。かわいそうだ。→<二>[7]
《尊敬》尊い。ありがたい。→<二>[8]
[名]《感動・風情》しみじみとした感動・情趣・風情。→<三>[1]
《悲哀》悲しさ。寂しさ。→<三>[2]
《愛情》愛情。人情。→<三>[3]
喜怒哀楽などさまざまな感動から発する声が起源。感動詞から転じて、心の底からのしみじみとした感動や感情、さらにはそれらを起こさせる状況を示す名詞や形容動詞として用いられるようになった。「あっぱれ」は「あはれ」が促音化して生じた語である。
<一>
[1](さまざまな感動をしたときに発して)ああ。
[例]あはれ、しつるせうとくかな。年ごろはわろく書きけるものかな」〈宇治拾遺・三・六〉
[訳]ああ、これは大変なもうけものよ。今まではまったくまずく描いていたものだ」
[2]〔下に願望の表現を伴って〕ああ、なんとかして。ぜひとも。
[例]あはれ紅葉をたかん人もがな」〈徒然・五四〉
[訳]ああ、なんとかしてもみじ(の落ち葉)を焼いて(酒を温めて)くれる人がいればよいのになあ」
<二>
[1]しみじみと心を動かされる。感慨深い。
[例]「折(をり)からの御文いとあはれなれば、御使ひさへ睦(むつ)ましうて、二三日据ゑさせ給ひて」〈源氏・須磨〉
[訳]「(なつかしく思っていた)折から(その人から)の手紙なので、とてもしみじみと心を動かされるので、お使いの者までなつかしく感じられて、二、三日留めなさって」
[2]しみじみとした風情がある。
[例]「夕暮れの静かなるに、空の気色(けしき)いとあはれに」〈源氏・夕顔〉
[訳]「静かな夕暮れで、空のようすにもとてもしみじみとした風情があって」
[3]情がこまやかだ。情が深い。愛情が豊かだ。
[例]「御心ばへのあはれなるをぞさすがに心苦しく思(おぼ)しける」〈源氏・若紫〉
[訳]「お心づかいの情がこまやかなのを、なんといってもおいたわしくお思いになるのであった」
[4]いとしい。かわいい。すてきだ。
[例]あはれなる人を見つるかな」〈源氏・若紫〉
[訳]かわいい人を見たものだ」
[5]感心だ。りっぱだ。
[例]あはれなるもの。孝ある人の子」〈枕草子・あはれなるもの〉
[訳]感心なもの。親孝行をする子供」
[6]悲しい。寂しい。
[例]「門(かど)引き入るるよりけはひあはれなり」〈源氏・桐壺〉
[訳]「(車を)門内へ引き入れるなり、(邸(やしき)の中の)雰囲気は寂しい
[7]気の毒だ。かわいそうだ。
[例]「得たるはいとよし、得ずなりぬるこそいとあはれなれ」〈枕草子・正月一日は〉
[訳]「(望みどおりの官職を)得た者はたいそうよい、(だが)得なかった者はまことに気の毒だ
[8]尊い。ありがたい。
[例]「霊山(りゃうぜん)は、釈迦仏(さかぼとけ)の御住みかなるがあはれなるなり」〈枕草子・寺は〉
[訳]「霊山は、お釈迦(しゃか)様のお住みになる所であるのが尊いのである」
<三>
[1]しみじみとした感動・情趣・風情。
[例]「もののあはれは秋こそまされ」〈徒然・一九〉
[訳]「ものごとのしみじみとした情趣は秋が最もまさっている」
[2]悲しさ。寂しさ。哀愁。
[例]「いとどあはれの数添ひて、袂(たもと)ぞいたく濡れまさる」〈平家・一〇・海道下〉
[訳]「いっそう悲しさの数が加わって、袖(そで)が涙でびしょぬれになる」
[3]愛情。人情。
[例]「子ゆゑにこそ、万(よろづ)のあはれは思ひ知らるれ」〈徒然・一四二〉
[訳]「子供によってこそ、すべての愛情は思いあたって分かるようになる」
<参考>「あはれ」は主観的・感情的に対象をとらえて深く心を動かされる感動を表すのに対し、「をかし」は客観的・理知的に対象をとらえて興味深さに心を動かされる感動を表す。したがって「をかし」が明るくこっけいな意に用いられていったのに対し、「あはれ」は特に近世以降は悲哀の意に用いられるようになる。
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(C)東京書籍[全訳古語辞典('06/2)]
JLogosID:5092362
最終更新日:2007-12-11




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