ケータイ辞書JLogosロゴ 八重葎(やへむぐら)


百人一首

八重葎(やへむぐら) 茂れる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり
〈拾遺・秋・一四〇・恵慶(ゑぎゃう)〉
[訳]「多くのむぐらが生い茂り、もの寂しくなってしまったこの家には、人はだれ一人として訪れて来ないが、秋だけはいつもと変わらずにやって来たことだよ」
<参考>『拾遺和歌集』の詞書に「◎河原院にて、荒れたる宿に秋来たるといふ心を人々詠み侍りけるに」とある。源融(とおる)が奥州の名所塩釜(しおがま)の浦を自邸の庭に再現しようとした河原院は、虚実ないまぜてさまざまな伝承を生み出し、『源氏物語』夕顔の巻の「なにがしの院」のもとにもなっているス世紀後半の当時は曾孫の安法(あんぽう)法師の所領となっていて、そこに恵慶のほかに大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)・清原元輔(きよはらのもとすけ)・平兼盛(かねもり)・源重之(しげゆき)などの著名歌人がしばしば参集して歌会を催していたことが知られている。「八重葎」はむぐらの歌語で、よもぎや浅茅(あさじ)(=茅(ちがや))などとともに荒廃を表象する景物であった。荒廃、孤独、寂寥(せきりょう)の重なった史跡に悲しい秋が到来するという、自然と人事の交錯した情景が歌に詠み出されている。
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(C)東京書籍[全訳古語辞典('06/2)]
JLogosID:5113453
最終更新日:2007-12-11




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