ケータイ辞書JLogosロゴ 大晦日と掛け取り
【おおみそかとかけとり】

暮らしと文化

江戸時代は貨幣経済が発達した時代だった。それを受けてこの時期の文学作品には、金銭がらみで引き起こされるさまざまな問題を取り上げたものが登場してくる。中でも井原西鶴の浮世草子にはこれに関する秀作が多い。
当時の社会では個々の買い物を現金払いでするということはあまりなく、掛け売り、掛け買いというやり方をしていた。これは買い手を信用して商品を先に渡し、買い手は決められた期日にまとめて支払うという方式である。その期日は「節季」といい、一年に五つの節季があった。すなわち三月二日、五月四日、七月十五日、九月八日、十二月晦日である。特に十二月の晦日は「大節季」といってその年の最後の節季となるので、それまで支払いを引き延ばして来た人も逃げられない。
この大節季の一日を舞台に、さまざまな人が繰り広げる悲喜劇を描いてみせたのが、井原西鶴の『世間胸算用』(→せけんむねさんよう)である。集金をするほう(「掛け取り」という)も必死の覚悟で取り立てるが、集金されるほうも逃れようと必死に画策する。それを滑稽(こっけい)に描いているところが、この物語のおもしろさである。例えば、巻二の四の「門柱も皆かりの世」では、夫は包丁を振り回して発狂したように見せかけたり、夫婦げんかをしたりして掛け取りたちを追い返そうとする。その結果、ほとんどの掛け取りが恐れをなして帰ってしまうが、少年の掛け取りだけが冷静に状況を見て、りっぱに集金を済ませる。人間のしたたかさとバイタリティーを見せてくれる話である。
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(C)東京書籍[全訳古語辞典('06/2)]
JLogosID:5113470
最終更新日:2007-12-11




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