ケータイ辞書JLogosロゴ 徒然草
【つれづれぐさ】

主要作品解説


作者・成立
作者は兼好(一二八三?~一三五二?)。俗名はト部兼好うらべかねよし、法名は名を音読して「けんかう」。京都の吉田神杜の神職の家に生まれたので、吉田(の)兼好とも呼ばれたが、吉田は地名であり姓ではない。正安三(一三〇一)年、後二条天皇に六位の蔵人くろうどとして仕えるが、延慶元(一三〇八)年死没にあい、まもなく出家。二条為世ためよに和歌を学び、二条派の歌人として活躍し、為世門の和歌四天王の一人に数えられた。古典学者、書家、有職故実家ゆうそくこじつかとしても知られ、広く貴族、武家や僧侶そうりょと交流した。家集『兼好法師家集』があり、『続千載しょくせんざい和歌集』以下の勅撰集に十六首入集する。 成立は鎌倉時代末期。元徳二(一三三〇)年から元弘元(一三三一)年のころ、大部分の段が書かれたとする説が一般的である。 題名は序段の「つれづれなるままに、日暮らし、硯すずりに向かひて…」による。
内容・構成
序段と第一段以下、第二四三段までの総計二百四十四段から成る随筆。現在の章段分けは絶対的なものではないが、それぞれの段は一応独立し、章段相互のつながりには作者自身による連想や転換の意識が働いていたと思われる。内容は自然、生活、宗教など多岐にわたっていて、どの章段にも作者の幅広い関心、深い教養、鋭い観察眼が感じられる。 試みに分類して示せば、(1)日常の教訓を説くものに、教養に触れる第一段、人間関係をいう第一三段、倹約を強調する第一八四段、名人を重んじる木登りの男の第一〇九段、(2)趣味・教養の論に、季節の情趣と推移を味わう第一九段、住居にかかわる第一〇段、(3)無常を観じる第七段、(4)遁世とんせいを勧める第五八段などがあるほか、(5)説話では第四五段の「堀池ほりけの僧正」、第二三六段の「丹波たんばに出雲いづも…」の獅子しし ・狛犬こまいぬの立てようをめぐる笑話、(6)有職故実や事物の考証もあって、(7)思い出や自賛にまで及んでいる。
文体・特色
平安時代の語彙・語法にならった和文を基本とするが、仏教的な主張を込めた段では和漢混交文も見られるなど、主題により文体に変化をもたせている。 この作品の根底には、「世は定めなきこそ、いみじけれ」(第七段)という仏教的無常観に基づく求道者としての立場がある。それは単に世のはかなさを嘆くのではなく、無常の現世を見据えて、どのように生きるべきかを追求するものである。また、「何事も、古き世のみぞ慕はしき」(第二二段)という、王朝文化にあこがれる尚古思想の立場も併存しており、有職故実への執着や事物考証への熱意はここからきている。さらに、偉人の言葉に共感し、人間の弱さや心理の複雑さなどを観察する人間理解者の立場も見せていて、作者が示すこのような立場に、この作品が後世多くの読者を獲得する理由があった。 近世になると注釈書も印刷出版されて、仮名草子・浮世草子・浄瑠璃じょうるり・俳諧などのさまざまなジャンルに影響が及んだ。近現代においても、小林秀雄の『無常といふ事』や唐木純三の『中世の文学』などで『徒然草』はしばしば論じられるところである。
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(C)東京書籍[全訳古語辞典('06/2)]
JLogosID:5113649
最終更新日:2007-12-11




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